元書店員たちによる読書日記


by おすすめ本処 かわら版

フェア#59 秋空フェア

✱秋空フェア✱
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秋ですね...と、書こうと思ったらすぐそこに冬の足音が聞こえている今日この頃。朝はもう、本当に寒い。青空に白い月が浮かんでるのを「切りそこなった大根を昼間の月に見立てていたのは、向田邦子だったか」なんて思いながら、自転車漕ぎ漕ぎ空をチラ見している。f0369008_21111241.jpg
フェアどうしようか?と皆であれこれ協議している時に、「秋って空見上げること多くない?」と2F山口さんが言って、それはいい!と今回のフェアになりました。その時頭には、青空が広がっていたのですが、蓋を開けてみたら夜空が圧倒的多数 笑。で、でも秋の夜空もいいよね!という事で、楽しんで頂けたら幸いです。素敵な秋空の写真を提供してくれた1F堀次さんも参加してくれました。

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173.png1F 堀次
-太陽がとかす氷を、ぼくらは彗星と呼んでいる。空を彩る流星群は、彗星の落としもの-
● 『世界でいちばん素敵な夜空の教室』 企画/文 森山晋平(ひらり舎)【三才ブックス】

わたしはカメラ小僧である。ある日思った。「夜空」を撮りたい!主役となる「星」を知らねば!
そんなときに出会ったのがこの本。なんとなーく知ってるけどちゃんと説明できないナゼ?ナニ?に、次の日誰かに話したくなるように答えてくれ、写真集としても楽しめる。お得だ。
秋冬の澄んだ夜空を眺めながら、友だちを「へぇぇ!」と言わせちゃいませんか?

173.png2F 山口
「でも、天の川なら、中学生のときにキャンプで見たことあるけど」
「それは、なんていうか、まがいものみたいなもんだよ。本物は、地球を消してしまう。立ってる感覚が消えて、自分の目で、この身で感じるのは、どこまでも本物になるんだ」
●『空で歌う』中山智幸【講談社】

子どものころからマイペースで、どこか浮世離れしていた天文好きの兄の突然の死をきっかけに、弟は兄の元恋人に誘われるまま、兄が生前に申し込んでいたロケットの打ち上げを見に種子島へと車を走らせる─。初対面の男女が、「兄」「元恋人」という共通の幻影を追い求めて旅に出る様子はロードムービーのようで、ふたりの会話や天候の描写に引き込まれます。不意に挟まれる兄弟のエピソードも魅力的で、彼らの孤独と、空に焦がれる気持ちを継いで、久しぶりに夜空を見上げたくなりました。

174.png7F 山川
おうい雲よ
ゆうゆうと
馬鹿にのんきそうじゃないか
どこまでゆくんだ
ずっと磐城平の方までゆくんか
(「雲」)
●『日本語を味わう名詩入門 4 山村暮鳥』萩原昌好編【あすなろ書房】

小学校の国語の教科書で読んだ方もいるはず。私はクラス全員で声を揃えて音読させられた覚えがあるのですが、子供ながらに妙なテンポと味わいを感じて、もっと渋いおじさんみたいなひとが読んだらかっこいいんだろうなあと思っていました。磐城平とは福島の方だと聞いて、ひらけた濃い青空が広がっているんだろうなあとも。
暮鳥の詩はじっと読んでみると音的にもひらがなの多めな字面も、不思議な心地よさを感じます。秋の夜長にいかがですか?

173.png2F 大庭
「頭と体の使いかた次第で、この世界はどんなに明るいものにもさみしいものにもなるのだ」
● 『宇宙のみなしご』 森絵都【角川文庫】

中学2年生の陽子は強気で群れない一匹オオカミ。年子の弟リンは、皆に可愛がられるタイプで、陽子の自慢だ。両親が不在がちでふたりだけの遊びをつくり出すのが得意だった陽子たちがいまはまっているのは、真夜中によその家の屋根に上がること。そのふたりだけの秘密に、陽子のクラスメートたちが入りこんできて…。「宇宙のみなしご」であるわたしたち。宇宙の暗闇にのみこまれて消えてしまわないために、必要なことはなにか。澄んだ寒空に似合う物語です。

173.png5F 松浦
星や星雲が無限の速さで後方に流れていった。数知れぬまぼろしの太陽が爆発しては、うしろで小さくなっていく。彼は影のように星ぼしをつらぬいて飛んでいるのだった。
●『2001年宇宙の旅』アーサー・C・クラーク著【ハヤカワSF文庫】

秋空フェアというテーマから外れているかもしれませんが、私にとって“空”は“宇宙”と均しいのです。この作品を初めて読んだ時、荘厳な宇宙に圧倒されました。また、まだ人間になる前の類人猿の〈月を見るもの〉の、月に対する漠然とした感情、それは人類が空へ、宇宙へと思いを馳せる原点でもあると感じます。物語はモノリスという謎の石板が人類に進化を齎すというこれも壮大な話なのですが、私は暗い宇宙空間に浮かぶ白い宇宙船の姿と、宇宙飛行士のボーマンが星々の門を抜け〈星の子〉に変化する情景に未だ打ち振るえます。

174.png1F 長濱
雨がやむと、雲間からぎらぎらとした太陽と虹がでた。私は給水塔に上がった。-中略-私は陽光を反射させる雲の峰を眺め、給水塔から飛び降りた。羽根のようにくるくると舞いながら落下した。飛べないのだった。何度やっても空には戻れなかった。
●『廃墟団地の風人』(『無貌の神』収録)恒川光太郎【角川書店】

夕焼けや青空などの具体的な空の描写はないが、最近読んだものの中で何故か一番空のイメージが記憶に残った短編。これは空から地上に落ちてきた風人という肉体のない存在が、空に戻ろうと努力するシーン。人間や地上と関わるうちに重さが増して空へ帰れなくなった主人公の風人が、一人の少年と深く関わるうちにその人生に巻き込まれてしまうお話。ラストは物悲しいような残酷なような終わり方だが、不思議と読み返してしまう。

173.png2F 田端
───子どもの頃、夜の時間が大好きだった。外の暗闇が大きく開けていたからだ。母の家はとても狭かったので、ありとあらゆる暗い隅っこには考えたくない物があった。でも外の闇はちがう。(中略)耳をそばだてると聞こえてくるさまざまな物音に、いつも驚嘆したものだ。───
● 『夜の動物園』ジン・フィリップス【角川文庫】

閉園時間間際の動物園。突然の銃声。4歳の息子を連れた母は恐怖に駆られて園内に身を隠すのですが…《夜の動物園》は隠れる場所には困らなさそうに思うのですが、暗がりで動くものに出会ったときの恐怖。連絡手段のスマホの明かりが自分達の位置を犯罪者に知られてしまう恐怖。なによりも最大の恐怖は4歳児の本能のままの言動!事件解決まで3時間余り、頑張った母の物語です。

173.png1F 岡田
幼い頃、死者は昇天して星の群れの一つに化すのだという話を、祖母からきいた記憶がある。夜空に散った星は、すべて死者の数の増す速さに応じて星の光は際限もなくふえているのだという。
●『星への旅』吉村昭【新潮文庫】

「死んじゃおうか」仲間の1人から発せられたこの言葉は、無気力な日々を送る5人の若者に甘美に響いた。自殺するため北へ北へと旅を続け、目的地に着いた日の夜、予備校生の圭一は、夜空を見上げながら死へと思いを馳せる─心の揺れ、迷い、葛藤。本当にするの?口だけでしょ?と半信半疑のまま読み進め、最後は深いため息が漏れた。決断を促すものは確固たる意志とは限らない、ほんの小さなきっかけで、駒はどっちにも転ぶのだなと。昭和41年に書かれた作品ですが、色褪せないのは、いつの時代にもこういう人たちは存在するということですよね。


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# by a_kawaraban | 2017-11-24 23:59 | フェア | Comments(2)

11月冬林檎侍[2F山口]

NEW177.png18日(土)「かかりちょうのおみせにいきたい」とぽっぺんちゃんが言うので、1F岡田さんと堀次さんに声をかけて、元A書店の上司がやっているカフェーに集った。ランチのあとはいつも通り書店へ行く。虎の子の図書カードで買った絵本は、織田道代とtupera tuperaのおやおやおやつなにしてる?【鈴木出版】と、ぽっぺんちゃんが気に入って、どうしても!と言うので、えぐちりかのパンのおうさまとシチューパン【小学館】。本の形がスポンジでできた山形食パンで、いかにも子どもにウケそうだ。私はストーリーにピクリとも面白さを感じなかったけど……。ぽっぺんちゃんはぬいぐるみのように布団に入れていっしょに寝ている。

17日(金)
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2F川口さんとお茶をしたり、書店に行ったりする。「源氏物語わかる?」と聞くと「私、パタリロ源氏物語!しか知らんねん」と言う。「!!」「おもろいやろ。光源氏がバンコランで、紫の上がマライヒ」。いかにも面白そうだ! 書店では、田辺聖子の新源氏物語(四)霧深き宇治の恋【新潮文庫】を買った。川口さんも同じ本の1巻を買ってくれた。川口さんはジェイン・オースティンの小説(イギリスの恋愛小説の古典)を敬愛しているので、ぜったいに楽しめると思う。本日二軒目のお茶は、珈琲舎・書肆アラビクへ。久しぶりのアラビクはギャラリー色が濃くなっていて、ますます雰囲気が出ていた。店主の森内さんと本の話、コーヒーの話、植物の話、書店の行く末の話をする。「お子さん何歳になりましたか」と聞かれ「4歳です。絵本が大好きで、そのせいか数え方の単位が何でも『1枚2枚…』なんです。テレビを見ているときなんかも、1シーンを『このページ好き!』と言います」と言うと、「僕も子どものときそうでしたよ。水族館で水槽を見ながら『つぎのページに行こう』と親に言ったらしいです」。ああ、楽しい、面白い。こんな感じなのでついつい長居をしてしまう。アラビクは心が安らぐ空間やわあ、と川口さんも言う。

16日(木)インパクトがあるとか、語呂がいいとかで、つい口に出たり、日常の会話に引用してしまう絵本のタイトルがある。たとえば、ジョン・バーニンガムのずどんと いっぱつ。「ずどんと いっぱつかましたれ!」と、夫まで日常的に使う。大学の友達ののりこさんとは、角野栄子のスパゲッティがたべたいようをよく使った。「お昼なに食べる?」「スパゲッティがたべたいよう」。今夜の寝る前絵本は梅田俊作のおやつがほーい どっさりほい。これまた愉快なタイトルで、ぽっぺんちゃんもいっしょに楽しそうにタイトルを読み上げる。

15日(水)ぽっぺんちゃんがゲシュタルト崩壊して、「キツネ」がわからなくなってしまった。「キツネが…ちがうちがう! ツケネ…? ツケネがねえ」と言うので、もう可笑しくてたまらない。「付け根がどうしたの?」と聞くと「あるところに付け根がいました。付け根はへびを食べて死にました」「いきなり死んだ!」「へびが付け根のおなかを食べたから、おなかにあながあいたのよ」なるほど。こういう間違いも今だけのことなんだろうなあと思うと、もったいなくて訂正できない。私が気に入っているのは「みんなたち」。「たち」はいらん…と思いつつ、面白いからそのままにしている。

14日(火)火曜日と金曜日のお風呂読書でしか本が読めない。あまりの進まなさに、家事をしている最中に、となりでだれかに朗読してほしくなる。今日はお風呂で新源氏物語(下)を40ページ読めた。「山口さんがどこまで読んだかわからんから、詳しくは書かんけど、この先源氏を見直すとこなんてこれっぽっちもなかったな、私は。何度『お前さあ!!』って御簾をバーンってやって怒鳴り込みたくなったことか。」というのは1F岡田さんからのメール。笑える。

13日(月)田植えの時期に息子が足を痛めて手伝えなくなり困っている父親のもとに、どこからともなく小僧さんが現れる。小僧さんはひょうひょうとして不思議な歌をうたいながら、見事に馬の口取りをこなしたり、田植えを手伝ってくれる。父親はせめて晩ご飯でもごちそうさせてくれと言うのだが、小僧さんは夕方になるといつの間にか姿を消しているのだった。そんなことが続いた3日目に、今日のうちに終わらせたいという父親の気持ちを察したのか、小僧さんはいつもより遅い時間まで田植えを手伝っていた。そして日が落ちて…。いままでまったくとらえどころのなかった小僧さんが「こりゃまずい!」と言って、血相を変えて走っていく。そして石につまずいてバッタリ倒れたかと思うと、息が止まっていた。父親が泣きながら小僧さんを抱きしめると、体は硬く冷たくなり、お地蔵さんに変わっていた。それは田んぼの前でいつも手を合わせているお地蔵さんだった。これが、まんが日本昔ばなしの「田植え地蔵」のあらすじ。私がこの話を好きなのは、視点が急に小僧さんに変わるところだ。超越した存在が慌てる様子に興奮する。


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# by a_kawaraban | 2017-11-18 20:16 | 【 侍 2F 山口 】
NEW177.png~17日(金)   またもや11月も半分が過ぎてしまいましたが図書館の魔女を、ようやく読み終えました…。四巻の、というより物語の後半は前半の緩やかな進み具合とは全く違う冒険活劇でした。マツリカに呪いをかけた傀儡師“双子座”の居城に乗り込む一行、しかしそこには双子座だけでなく、手先と使っていた敵の勢力も口封じの為の刺客を送り込んでいた。マツリカたちは二つの軍勢と戦う羽目になるのですが、まぁとにかくキリヒトが強くて惚れ惚れしました。それでも双子座の本拠に仕掛けられた罠に陥り危機に陥ってしまうキリヒト、それを救ったのはマツリカのとっさの判断でした。キリヒトを個人的な通訳とする試みから徐々に、確実に近づいていく二人の心…しかしマツリカには分かっていた。キリヒトとの別れは近づいている事に――。物語は大団円を迎えるのですが、余韻が深く残り、彼らの行く末を出来うるなら知りたいと願っています。帯の謳い文句がほぼ偽りの無い凄い作品でした。頑張って読んで本当に良かったと思います。
次はロボット・イン・ザ・ガーデンの続編、ロボット・イン・ザ・ハウスを読む予定です。

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# by a_kawaraban | 2017-11-17 21:35 | 【 侍 5F 松浦 】 | Comments(0)
11月 「私の円グラフ」2F山口


私は雑食読みなので、難解な本はさておき、ジャンルはなんでもいける。ただひとつ、残念に思うのが、ミステリ小説を楽しめないこと。
子どものころに何を読んできたかで、その後の人生って変わると思う。私は、ホームズもルパンも少年探偵団も、なんならズッコケ三人組すらも読んでこなかった。それが、ミステリを楽しめないことにつながっていると思う。読んだ本よりも読まなかった本に影響を与えられているというのが面白い。f0369008_10441449.jpg
小学生のとき、はじめて買ってもらった本は、ルナールのにんじんだった。感想を書いて父に持っていくと、次の本を買ってもらえた。フランダースの犬宝島十五少年漂流記など、児童文学の定番はそうして読んだ。漫画に目覚めたのは、3年生のこと。お腹が痛くて病院に連れて行ってもらったとき、先生は母に言った。「今日は学校を休ませて、飴と漫画を買ってあげなさい」。母は先生が言ったとおりに、飴と雑誌ちゃおを買ってくれた。布団の中ではじめて読んだ漫画の面白かったこと! なかでも赤石路代、篠原千絵、惣領冬実の漫画に夢中になった。その後ドラゴンボールと出会い、通奏低音のように、ドラゴンボールは私の心にあり続けることになる。
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中学生になると映画一筋といってもいいほどで、毎月雑誌のロードショースクリーン、隔月でムービースターを買っていた。中2のある日。友達の提案で、ぶあつい小説を買ってどちらが先に読み終えるか競争しようということになった。友達が選んだのは、当時はやっていたシドニー・シェルダンの上下巻もの。私が選んだのは、ジョン・グリシャムの依頼人。二段組のぶあつい小説を読み終えたときに、大人の小説でも読もうと思えば読めることを知った。弾みがついたので続けてロバート・ニュートン・ペックの豚の死なない日を読んだら、主人公が大事にしていた豚が死んでうろたえた。タイトルと内容の違いに、大人の小説はややこしいことを知った。その後ブラックジャックと出会い、これまた通奏低音のように、私の心にあり続けることになる。f0369008_10451748.jpg
転機は高校生。雑誌スクリーンの文通のコーナーで知り合った女の子から、江國香織のきらきらひかる【新潮文庫】が送られてきて、それを読んだ私は、そのときやっと、本当にやっと、小説はがんばって読むものではなく、楽しめるものだと知った。新潮文庫の夏の100冊の冊子の中から、興味を持ったものを読みまくり、司馬遼太郎と出会ったのは大きかった。ミステリには興味がなかったけど、妖怪は大好きなので、京極夏彦の世界にもはまった。文通相手からは、清水玲子の漫画も送られてきて、それがきっかけで、花とゆめの壮大な世界観に痺れた。
ひとつのジャンルに没頭するのではなく、陣取りゲームのようにいろんな本に手を出していくうちに、何でも楽しめる雑食読みになったけど、ミステリ小説の楽しみ方を知らないのが残念でしかたない。

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# by a_kawaraban | 2017-11-13 00:00 | エッセイ | Comments(0)
31日(火)新源氏物語(下)を、お風呂読書で40ページほど読んだ。源氏は40歳になり、息子の夕霧は20歳になった。夕霧は「すがすがしい、さわやかな美青年で、言葉も明晰に、何より気質のやさしさが匂うようで好もしい。その上、品位があって堂々としている」。そして、父親の源氏とはちがい、ひとりの女性を思い続けるという「当代珍しい純情な人」だ。いろいろあった(それはもういろいろあった!)のに、夕霧がひねくれずにまっすぐに育っていくのが読者として嬉しい。でも、そんな素晴らしい夕霧よりも、源氏が優れているところは「愛嬌があふれ、人なつこく、可愛気があって楽しい」ところらしい。ふむふむ、たしかに、なるほどなあ、と思いながらページをめくる。

30日(月)1F堀次さんが、ぽっぺんちゃんの出産祝いにくれたフェルトのままごとを、ずっと温存していた。ついにそれを4歳の誕生日に渡すと、新しい世界が開けたような喜びようで、ずっと遊んでいる。ケーキやドーナツやハンバーグたちは、シンデレラの馬車に乗ってピクニックに行くらしい。なるほど、フェルトでできたままごとは、ぬいぐるみ要素もあるんだな。寝る前読書は、ハンス・フィッシャーのブレーメンのおんがくたい【福音館書店】。はじめての絵本なので、読んでいる最中にいろいろと質問してくる。「ここはだれの家?」「どろぼうの家だよ」「そうか、ここが犯人の家か」。何回「どろぼう」と言っても、「犯人」と言い換えてくる。「科捜研の女」の見すぎか。

29日(日)実家の家族が泊まってくれたので、引き続き誕生日2日目、といった感じ。ぽっぺんちゃんは、昨日みんなからプレゼントしてもらったものを手に取っては遊んでいる。そしてみんなが帰ると、家はがらんとして祭りの後のさびしさが…。気分を変えるためにお風呂に入って、さるかに合戦ごっこをした。さるのおもちゃはないので、代理はかば。柿はないので、代理はりんご。かにはおにぎりをかばにあげ、かばはりんごをかににあげ、仲良く食べて、戦は起こらなかった。

28日(土)
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今日はぽっぺんちゃんの4歳の誕生日。実家の家族や叔母夫婦が来てくれて、にぎやかに過ごす。こうして集まっても、ごはんを食べたあとはみんなおのおの、したいことをして過ごすのが昔からのやり方で、そういうのも愉快で楽しい。夫はシンデレラのLEGOを組み立て、叔父はギターを弾き、父は漫画を読みふけって、弟はテレビを見ている。母と叔母は、ぽっぺんちゃんとキーボードを弾いて遊んでいる。私は気に入りのマグカップに、コーヒーを入れたり、紅茶を入れたりして、みんなのあいだを行ったり来たり、どう?どんな感じ?と話しかけるのが楽しい。

27日(金)数日前からあやしかったけど、ついに私も風邪を引いてしまった。微熱があって、力が入らない。なんとか幼稚園のお迎えに行くと、ママ友から「顔色が悪い」と言われた。むかし飼っていた柴犬を思い出す。ときどき、顔色が悪くなる犬だった。顔じゅう毛が生えているのに!? はたして顔色とは? 明日はぽっぺんちゃんの4歳の誕生日。楽しい一日になりますように。

26日(木)ぽっぺんちゃんの寝る前読書は、ピーター・スピアーのきっと みんな よろこぶよ!【評論社】と、五味太郎のかぶさんとんだ【福音館書店】。ピーター・スピアーの素晴らしさといったら! 子どもたちが工夫をこらして遊ぶ様子(しかもちゃんと後片付けもする)は、何度読んでもわくわくする。大人がどれだけ寛容になれるかで、子どもの伸びしろは変わってくるんだろうなあ。ぽっぺんちゃんは、はじめて読んだこの絵本にかぶりつきで「わたしもこんなのしたい!」と言っていた。あと、かぶさんとんだを読んだあと、おもしろいことを言った。いつもは、お鍋に落ちたかぶさんや、てるてるぼうずくんや、たこさんや、かみなりくんをむしゃむしゃ食べてから、おいしかったねーと言って本を閉じるのだけど、かみなりくんを食べたぽっぺんちゃんが「明太子の味がした」と言うのだ。「へえ…そうなの?」「うん、だって、かみなりくんって太鼓を持ってるでしょ。めんたいこ」


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# by a_kawaraban | 2017-10-31 23:50 | 【 侍 2F 山口 】 | Comments(0)

10月 秋鯖侍 [5F 松浦]

NEW177.png~31日(火) 気が付くとまた月末でした…。十二大戦は読み終えました。思っていた以上に凄い戦いで、最後誰が勝者となるんだろう――と思っていたら意外な人物が、想像もしない方法(特殊技能)で勝利者となったのですが…それまでの各々の戦いがまた何とも独特でした。この世界観は面白いなと思っていたら、12月に続編が出るらしいとのこと。今度は十二星座の戦士も現れる模様で、気になっています。図書館の魔女は四苦八苦しながら、ようやく半分辺りまで辿り着きましたが、話の結末がどんな風に落着するのか、果たして落着するのか、まるで読めません。呪いをかけた呪術師の居場所を知り、出向くマツリカたち、しかしそこには…という緊迫した場面に直面中です。

8日(日) 先日深夜にやっていたアニメを観て、ちょっと気になったので原作を読んでみようと思い、初めて西尾維新の本を購入しました。タイトルは十二大戦。何故十二大戦なのかと思ったら十二支から来ているのですね。まだ第一章(第一戦)しか読んでいないのですがようは一級の戦士たちによるデス・マッチの話のようです。殺伐とした物語を個性的な文体で綴り独特の空気を醸し出しているのですが、まさか第一章がこんな終わりを迎えるなんて…!という驚きはありました。
そして一方図書館の魔女も遅々としていますが読み進めています。極寒の地で二ザムと隣国との和平交渉を慎重に進めるマツリカ一行。二ザム帝の鮮烈な宣言が齎す衝撃すらマツリカは冷静であり続けます。はたして交渉はうまくいくのか…。

2日(月) 昨日から湖底のまつりを読み始め、先程読み終えました。ミステリー作家の最高傑作という帯の謳い文句に読み始めたのですが、想像していたものと全く違う小説でした。個人的にミステリーというよりはこれは一種独特な恋愛小説ではないの?という思いが最後まで拭い切れませんでしたが、最終的な着地点がこんな処だとは驚きました。読み易い文章で機会があったら他の作品も読んでみたいと思います。そして図書館の魔女はまだ全体の十分の一辺りです。大国二ザムの帝の元で更に隣国との和平の会に参加するマツリカたち。本当の敵は二ザムの政治を完全支配しようと図る宦官たち。自分の命をなおも狙う彼らと対峙し、マツリカは動乱を防げるのか…そして自らに賭けられた“呪い”を解けるのか――先は本当に長いです。それから、10月の長濱さんのエッセイ、読書遍歴を円グラフで表すというのがとても興味深かったです。自分でもこっそりやってみようかなと、ちょっと考えています。
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# by a_kawaraban | 2017-10-31 23:49 | 【 侍 5F 松浦 】 | Comments(0)
書き出しライブラリー
このコーナーでは、
かわら版メンバーがいま読んでいる本の
書き出しを紹介しています。


2F山口
源氏は明石の姫君の裳着の準備に没頭していた。
東宮も同じ二月に御元服される。ひきつづいて姫君の入内があるはずだった。
⚫︎田辺聖子 新源氏物語(下)【新潮文庫】

5F松浦
そのゴーストタウンの中心近くにそびえ立つ廃ビルに這入って、異能肉は、(随分と真新しい廃ビルですこと)と思う。もっともこのビルが廃ビルになったのはごくごく最近の話であり、この街がゴーストタウンになったのも、同じくごくごく最近なのだった。このたび、十二大戦を開催するために、本当にただそれだけのために、大戦主催者は街をひとつ滅ぼしたのである。
●西尾維新 十二大戦 【集英社】

2F山口
源氏が須磨・明石にさすらっていたころ、都でも嘆き侘びている女人は多かったが、それでも、生活に不安のない身分の人々は、まだよかった。
紫の君などもそうである。経済的に恵まれた立場にある上、たえず便りは交わしあっていたし、季節ごとの装束をととのえて送ったりして、気のまぎれることも多かった。
しかしあわれなのは、源氏に一、二度、うすなさけをかけられてそのまま、忘られた女人たちだった。恋人の数にも入れられぬまま、源氏の都落ちをよそながら聞いて、人知れず悲しんでいた。
⚫︎ 田辺聖子 新源氏物語(中) 【新潮文庫】

5F松浦
どのくらい、その樹の下に立っていたのだろうか。
気が付くと、掌の中に汗がにじみ出している。暑さのせいではない。樹の下を通る山間の風は、もう初冬の冷気があった。山道を登りつめたための汗なら、とっくに引いているはずだった。
⚫︎泡坂妻夫 湖底のまつり 【創元推理文庫】


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# by a_kawaraban | 2017-10-30 23:38 | 書き出しライブラリー | Comments(0)

 ちょっと不思議な物語フェア



私たちの子どものときには、ハロウィンなんてマイナーもマイナー、知っている人のほうが少ないくらいでしたよね。でもいまでは、道を歩けばハロウィンの飾り付けをした店があり、お菓子のパッケージはハロウィン仕様、仮装を楽しむひとたちもいます。すっかり取り残された気分ですが、小さな子どもたちは生まれたときから存在するこのお祭りが、大好きなようです。おばけ、コウモリ、ジャックオランタン、それらの非日常が日常に入り込む「不思議」さは、考えてみればワクワクするものですよね。
今回のフェアは「ちょっと不思議」な物語を集めてみました。怖かったり、奇妙だったり、奇跡だったり、いろいろな不思議の味を楽しんでいただけると嬉しいです。
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173.png5F 松浦
日曜日の朝、朝寝坊をした男が目をさました時。子供の怪獣だという声に外を眺めてみると、何とそこには恐竜が居た。そして恐竜だけでなく、その時代の巨大な植物たちも。だがそれは実体のあるものではなく、まるで蜃気楼のようなものだった。男はしばらく混乱したが、実害がない為、このパノラマを妻や子供と楽しむ事にした。しかし…。日常生活に突然飛び込んで来た不思議な現象、それを安易に受け入れた人間たち。でもそこには想像を越える真実があった。私に不思議な世界を教えてくれた星新一作品の中でも、特にシニカルな内容で大好きな物語です。
⚫︎星新一『午後の恐竜』【新潮文庫】

173.png2F 大庭
十字路の角にある、名前のないその食堂のことを、客は皆「つむじ風食堂」と呼ぶ。メニューは少々気取っているものの(とはいえ、〝コロッケ〟を〝コロペット〟と呼ぶ程度)、取り立て変わったところはない。客はというと、「二重空間移動装置」を持つ帽子屋や「唐辛子千夜一夜綺譚」を扱う古本屋、「雨」の研究をする雨降りの先生…たち。不思議と言えば不思議な人たちばかりです。ですが、ちっとも変じゃない。私たちが住む町の隣にあったってちっとも不思議じゃない、不思議な夜のお話。
⚫︎吉田篤弘『つむじ風食堂の夜』【ちくま文庫】


173.png1F 岡田
「オチがない」大阪人が嫌う(と言われている)、そんな短篇が詰まった1冊です。オチがないということは、それ以降は貴方の想像に任せますってことで、不可解な話であればある程、それすなわち不思議への第一歩。この後、どうなったのだろう?そうなるまでに何が?!答えがないとわかっていても、考えずにはいられない。ナンセンス、ブラックユーモア、ホラーにサスペンス...いろんな不思議を体験したい人にうってつけ!ワンダーランドへの扉は、ここにあります。
⚫︎原田宗典『どこにもない短篇集』 【角川文庫】


173.png1F 長濱
金雀枝荘で6人もの人が死んだ事件から一年近くがたち、真相を明らかにするために集まった人々の間で更なる殺人が起こる。「狼と七匹の子ヤギ」に見立てた連続殺人に、密室の館ものと私の好きなものを詰め込んだようなミステリー。ちょっと面白いのが、幽霊が出てきたりとホラー色が混じっている所。冒頭の「序章という名の終章」はドイツ人女性の幽霊の視点で描かれていて、不思議な導入部が一気に物語に引き込んでくれます。
⚫︎今邑彩『金雀枝荘の殺人』【中公文庫】


173.png7F 山川
泉鏡花の戯曲『天守物語』『夜叉ヶ池』『海神別荘』の漫画化作品。
幻想的な世界観を存分に表現する華麗な絵柄(特に表紙の、『夜叉ヶ池』の竜神・雪姫の美しさといったら…!)に、原文ほぼそのままの台詞が映えます。私が漫画小説を脳内で音読する読み方をするからかも知れませんが、大正期の古めかしく美々しい言葉たちがするりと心地よく入ってくる。ひとにあらざる美しき者たちに圧倒される、贅沢な作品です。
⚫︎波津彬子『鏡花夢幻 泉鏡花/原作より』【白泉社文庫】


173.png2F 田端
イザナキ、イザナミ、アマテラス、スサノオ、ヤマトタケル…等々これらが登場する作品をご存知ですか?作品名は『古事記』です。では、神武天皇、神功皇后、仁徳天皇が登場する作品は?実はこれも『古事記』です。薄ぼんやり知ってるような、わかっていないような作品なので、手始めにビギナーズ・クラシックスの『古事記』を読んだ次第です。天地創造から神々からつながる天皇家の系譜・王権の由来など、日本最古の歴史書ですが、物語として読み応えもあります。神話でもあるのであり得ないことも起こりますが、それでも、その時代の遺物が現存し、各地の史蹟を巡ることができます。しかし、この選書はフェアの趣旨に則しているんでしょうか?
⚫︎『角川書店編 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 古事記 』【角川文庫】


173.png2F 山口
「うまれたくなかったから うまれなかった 子どもが いた。」はじめて読んだとき、この書き出しに虚をつかれました。『うまれてきた子ども』というタイトルから、命の賛歌(それもあふれんばかりの!)だと思っていたので。うまれなかった子どもは、蚊にさされてもかゆくないし、パンのにおいをかいでも食べたくありません。だって、「うまれてないから かんけいない」。無感動な世界を淡々と描く佐野洋子・節に、どんどん引き込まれていきます。夫が3歳の娘に読んでやりながら「不思議な絵本や」とつぶやいたのが、今回の選書の決め手になりました。
⚫︎佐野洋子『うまれてきた子ども』【ポプラ社】

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# by a_kawaraban | 2017-10-30 13:21 | フェア | Comments(2)
10月 「私の円グラフ」1F長濱



先日、2階の山口さんと自分の読書遍歴を円グラフで表してみたら面白いのでは?という話になった。わかりやすいように、小中高時代に分けてグラフ化してみようと思う。まず小学生時代から振り返ってみると、f0369008_22394648.jpg里中満智子の天上の虹「持統天皇物語」【講談社mimiコミックス】と、細川智栄子の王家の紋章【プリンセスコミックス】が私の大部分を占めている。歴史漫画が特に好きで本気で考古学者になりたいと思っていたのも懐かしい思い出だ。そして未だに連載が続いている王家の紋章には本当に感動する。いつも思うがヒロインのキャロルは何回攫われているんだろうか?一度じっくり数えてみたいと思う。次は中学時代。f0369008_22401136.jpgこの頃は隣町の図書館によく通っていた。窓の側のテーブルに座ると、真後ろの棚がファンタジー小説の棚だった。椅子から近かったので読んでみたら面白くてどっぷりハマった。色々な本を読んだが、私が一番熱中したのはデイヴィッド・エディングスのベルガリアード物語【ハヤカワ文庫】。主人公が冒険の旅を経てどんどん成長していく様子が本当に面白かった。他には今で言うラノベのようなファンタジー小説ばかり読んでいた記憶がある。最後は高校時代、f0369008_22402506.jpgここが私の読書歴が本当に始まった時期。きっかけは高校の図書室で手に取ったモーリス・ルブランの怪盗紳士ルパン。冒険あり、謎解きありのミステリー。のめり込むように毎日借りては読み、返してはまた借りて読みふけった。それからコナン・ドイルのシャーロック・ホームズを読むようになり、探偵小説の面白さにハマることになる。けれど先にルパンの面白さを知ってしまった私は、今でも探偵と怪盗が勝負しているとつい怪盗に肩入れして読んでしまう。W・リンク/R・レビンソンの刑事コロンボシリーズ【二見文庫】も特に好きで読み漁ったシリーズ。他にはエラリー・クイーンの国名シリーズもこの頃から愛読している。今の私の主な読書ジャンルはミステリーとファンタジー、そして歴史物。この円グラフを書いてみて、改めてしっかり小中高時代の読書の影響を受けていることを実感した。

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# by a_kawaraban | 2017-10-14 23:59 | エッセイ | Comments(0)
f0369008_08205682.jpg今回のおそろい本は早見和真のイノセント・デイズ【新潮文庫】です。最近書店の店頭でよく見かけるこの本。インパクトがある帯の言葉に惹かれ、1F岡田1F長濱1F堀次2F山口の4人で即決して読みました。
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元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺害した罪で死刑を宣告された田中幸乃という女性。彼女がなぜこんな残酷な犯罪を犯してしまったのかを、関係者の視点から見たミステリー。
対談が進むうちに明らかになる我々の温度差のある感想をお楽しみ頂けたらと思います。

長濱:お揃い本の対談をするにあたり、グループLINE『お揃い本イノセント』を作ってみました!

岡田:『お揃い本イノセント』ってラノベでありそうなタイトルじゃない?笑

堀次:イノセント、がラノベっぽいよね。

長濱:内容は全くラノベとは正反対の重さだったけどね・・・・・。

堀次:重かったね!久々に、読みごたえあった。

岡田:もう、冒頭からズシーンときたもんね。なかなかヘビィなはじまり方だよね。

長濱:すごい勢いで読んでしまったよ、私。章が切り替わる毎に視点が別人になるから次が気になって一気に読んでしまった。

堀次:私は純粋に、おもしろかったと思う。現在と過去の切り替わりもうまかったと思うんだけど、みんなはどうかな?

長濱:確かに切り替えが上手かった!主人公(?)と言っていいのかな・・・死刑囚の幸乃がどんな人間なのかとその犯行動機が、接する人によって全く見方が違っていて。視点を経ていくうちに幸乃像がだんだん明確になっていくのは上手いと思った。

岡田:私も、読み始めたらあとは一気に...だったな。なにしろ、読まないことには事件の全貌がつかめないんだもの。なぜこうなったのか自分が納得する答はあるのか。そしたら、あれ?最初の印象と随分違うぞ…と。


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# by a_kawaraban | 2017-09-30 23:59 | フェア | Comments(0)

9月 稲雀侍[2F山口]

30日(土)
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福井旅行二日目。しまむらで靴下と下着を買い、恐竜博物館へ。常設展から特別展の「恐竜の卵」まで、余すところなく見てきた。恐竜博物館のあとは、1F堀次さんのおすすめで、一乗谷朝倉氏遺跡へ。おとなのしぶい趣味に付き合わせたけど、ぽっぺんちゃんは鯉に餌をあげたり、どんぐりを拾ったりと楽しそうだった。宿に戻る道すがら、ユニクロに寄って明日の三人分の着替えを買った。予定外の出費だけど心が晴れやかになってよかった!

29日(金)
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夫が三連休とれたので、旅行に行くことになった。行き先は福井県。恐竜博物館と永平寺と東尋坊に行く予定。旅人の1F堀次さんから見たら、ツッコミどころ満載のゆるい旅だと思う。まず9時に家を出て(そこは早朝5時に出なあかん!という堀次さんの声が聞こえてくる)滋賀県のクラブハリエに寄ったり、福井県のしおかぜラインをのんびりドライブしたり、荒磯で石を拾ったりして、18時に宿に着。いやあ、着いた着いた、と車を下りるときに、本当に、本当に、嫌な予感がした。後部座席をゆっくり確認する。ない、やっぱりない。二泊三日、三人分の着替えを入れた鞄が乗っていない!! いけるいける、旅にトラブルは付きものや、と夫は笑いながら言い、ぽっぺんちゃんは宿のロビーで目をキラキラさせ、私は完全に固まっている。すぐに携帯を出してママ友LINEに泣きつくと、しっかり者のTちゃんがユニクロやしまむらを電光石火の速さで検索してくれた。せっかくの旅行。あれやこれやとお気に入りの服を入れてきたのに…。とりあえず、ぽっぺんちゃんの靴下だけは洗って干しておこう…。あと、明日買うべき最低限のものをメモしておこう…。気持ちを立て直さなければ、せっかくの旅が台無しになってしまう。

28日(木)近所の奥さんがメダカの鉢をのぞいて、「これ、わいたん!?」と言うので、びっくりした。まさか! ボウフラじゃあるまいし。
今日もバタバタと忙しく、読書はほんの数ページ。源氏の正妻である葵の上は、源氏に対していつもよそよそしい。源氏にそんな態度をとる女性はいないので、私は葵の上のことがちょっと気になっていた。だからこそ、まさかの展開に気持ちがついていかない。

27日(水)ぽっぺんちゃんがミニテーブルの上のコーヒーを蹴飛ばして、田辺聖子の新源氏物語【新潮文庫】の上巻がやられた。しみだらけになった本を見るたびにテンションが下がる。と思っていたけど、見ようによっては、そのしみのおかげ(?)で、年季の入ったもののようにも見える。

26日(火)
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年々、美容院が癒しの場所になっていく。お湯の音、シャンプーの香り、やわらかな日差し。眠ってしまいそう。今日はパーマは当てずにカットだけだったので、文庫本を読む時間がなかった。それでも小一時間で頭も気持ちもすっきりして家に帰った。午後からは面倒な用事をすませ、夜はゆったりお風呂読書。久しぶりにビールを飲みながら、家族と「ジュラシックパーク」のDVDを見ている。明日とあさっては仕事が忙しいので、今日はゆったり過ごして、早めに寝るつもり。

25日(月)昨日「ジェイン・オースティンの読書会」を見て空想したのが、「源氏物語読書会」。テーマは源氏が恋をした女たちで、ひと月ごとにひとりの女性を取り上げる。たとえば今月は「空蝉」来月は「藤壺」というように。源氏物語を読みはじめるまえは、源氏を好きになれなければ読んでいても楽しくないんじゃないだろうかと思っていたけど、田辺聖子の新源氏物語【新潮文庫】を読みはじめたいま、これは源氏がどうこうというよりも、女たちが面白いんだな、と思う。

24日(日)「ジェイン・オースティンの読書会」という映画が好きでよく見る。読書会のメンバーは6人(女5人・男1人)。ジェイン・オースティンの著作も6作。彼らは月に1冊のペースで、誰かの家に集まって、食事をしながら感想を言い合う。面白いのは、感想を話しているうちに、自分の人生観や現状に対する思いがあふれ出してくるところ。とつぜん夫に離婚を切り出された者や、頑なに独身を貫こうとする者、教え子に恋をしている教師、などなど、抱えている悩みは深い。ジェイン・オースティンを読むことは地雷原を行くようなものだ、とメンバーのひとりは言う。私はこの映画の内容はもちろん、登場人物たちの服装や髪型、出てくる食べ物(スターバックスで何を注文するかとか)を見るのが好きで、だから何度でも見たくなる。より映画を楽しむために、ジェイン・オースティンの本も4冊読んだ。あと2冊もそのうちそのうち…。

23日(土)ぽっぺんちゃんの長靴を買いにショッピングモールに行くと、防災とボーイスカウトのイベントをしていたので参加してきた。AEDの使い方や、ロープの結び方、火の起こし方などを教わり、ぽっぺんちゃんは担架で運んでもらったり、消防車に乗せてもらった。書店では田辺聖子の新源氏物語【新潮文庫】の中巻と桜井画門の亜人【講談社】の11巻を買い、目的の長靴(ほんの2秒くらいで決まった)を買って帰った。

22日(金)好きな絵本作家は、フェリックス・ホフマン、ピーター・スピアー、チャールズ・キーピング、と確固たる気持ちで外国人作家の名前はあげられる。でもそれが日本人になると、えーっと、えーっと、馬場のぼる、初期の佐々木マキ……と、なんだかはっきりしない。これはどうしたことか、と思い、好きな本から辿っていくと、どうしても、やなせたかしに行き着く。やなせたかしというと、アンパンマン?と思われそうだけど、ほかにも絵本をたくさん書いていて、なかでもやさしいライオンチリンのすず【フレーベル館】は傑作だ。どちらも強烈な喪失の物語。とっておきなので、ぽっぺんちゃんにはまだ見せていない。最近になって、そろそろかなと思って見せたのが、タコラのピアノ【フレーベル館】。海に落ちてきたピアノを、タコラという名前のタコが上手に弾きこなす。やがてタコラは自分の力を試すために陸に上がるのだけど…。この物語もある種の喪失の物語で、コミカルなのに物悲しい。ぽっぺんちゃんはこのところ、寝る前読書の2冊のうちの1冊はタコラのピアノをリクエストする。


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# by a_kawaraban | 2017-09-30 19:00 | 【 侍 2F 山口 】 | Comments(6)
177.png 書き出しライブラリー 177.png
このコーナーでは、
かわら版メンバーがいま読んでいる本の
書き出しを紹介しています。


5F松浦
うしろ姿に胸がときめいたのは、生まれてはじめてのことだった。
その人の首はふとく、けれど余分な脂肪はいっさいまとっておらず、よく張った筋肉がそのまま肩へと続いているのが、なんの変哲もないTシャツの生地を通してもよくわかるのだった。
⚫︎川上弘美「鍵」(ぼくの死体をよろしくたのむ収載)【小学館】

5F松浦
和睦の円卓はニザマ西の離宮に催されることになった。
ニザマ帝は病身をおして主催者として三者間の円卓会議に列座するために、すでにニザマ港湾部を発って北西へと向かった。目的地は帝室の西方離宮である。
⚫︎高田大介 図書館の魔女 第四巻【講談社文庫】

2F山口
光源氏、光源氏と、世上の人々はことごとしいあだ名をつけ、浮わついた色ごのみの公達、ともてはやすのを、当の源氏自身はあじけないことに思っている。
彼は真実のところ、まめやかでまじめな心持の青年である。
⚫︎田辺聖子 新源氏物語(上)【新潮文庫】

1F長濱
はぁはぁはぁはぁ・・・・・。
もう走れないとばかりに、忙しなく息を吐きながら由羽希は立ち止まった。それでも後ろをすぐに確かめたのは、もちろん怖かったからだ。・・・・・何もついてきてない。
⚫︎三津田信三 忌物堂鬼談【講談社ノベルス】

1F長濱
「幽霊屋敷って、その一軒だけで充分に怖いですよね。それが複数ある場合は、どうなんでしょう?恐ろしさも倍加すると、先生は思われますか」河漢社の編集者でもある三間坂秋蔵から、意味深長な問いかけを受けたとき、これは何かあるぞと僕は身構えた。
⚫︎三津田信三 わざと忌み家を建てて棲む【中央公論新社】

5F松浦
新製品『翻訳タイプ』の広告文案を、その翻訳タイプで九ヵ国語にコピーした。
それで一日の仕事は終わりだ。
発送を卓上のトランジスタ秘書に命じて私は事務所を出、反重力シャフトで三百二十三階を一気に下降する。
赤、グリーン、黄、ブルー、紫、色とりどりの車がビルの前に並んでいる。お紺はダークグリーンのヘリ・カーと、純白の高級大型車にはさまれて、窮屈そうだった。彼女は一人乗りの最小型車だ。コバルトブルーだからお紺という。
⚫︎筒井康隆 「お紺昇天」(日本SF傑作選1 筒井康隆 収載)【ハヤカワ文庫】


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# by a_kawaraban | 2017-09-30 16:17 | 書き出しライブラリー | Comments(0)