人気ブログランキング | 話題のタグを見る

フェア#50:2017年これが私のベスト3!!

 2017年これが私のベスト3!!



何かと忙しない師走。フェアの本を選ぶついでにと本棚の掃除を始めてみれば、つい本を読み返してしまって全く掃除が進まないのも毎年の恒例です。さてこちらも毎年恒例となりました、かわら版メンバーが今年一年で出会った本の中から選ぶ、今年のベスト3をご紹介したいと思います。今回紹介した本が、読者の皆様の新たな本との出会いに繋がりますように願う次第でございます。

----------------


★1F 岡田
177.png1位『断層の森で見る夢は』藤本ひとみ【講談社】

YA(ヤングアダルト)と呼ばれるジャンルの読みものです。が!いい年した私をも唸らせる面白さ!秋休み。とある村に訪れた中学生2人。1人は拉致され、1人は助けようと奔走し、最後にはセオリー通りに成長もする。後から加わる2人も含め、君たち本当に中学生?!と言いたくなるほど専門知識があって、学者肌なのがかっこ良かった...。

2位 『愚行録』貫井徳郎【創元推理文庫】
対談本として紹介もしたので、内容については省略。いろいろと問題提起な小説だった。語り手が変わるごとに思うことが雪だるま式に膨らんでいき、凍結したまま未だ心の中にあるような。きっとずっと消化不良なんだろう。だけど読んで良かったと思える、不思議な本。

3位 『感染宣告』石井光太【講談社文庫】
またかわら版で紹介している本(文庫交換会)で心苦しいが、これは本当に紹介してもらわなければ出会えない本だったし、AIDSに感染した人たちが、どういう過程を経て、自分を(または周りを)納得させ、折り合いをつけて生きていくのか─知らないことの方が多いのだなと思い知らされた。

★1F 長濱

177.png1位『涙香迷宮』竹本健治【講談社】
何重にも複雑に仕掛けられたいろは歌の暗号。巧妙なトリックがあるミステリーではないが、日本語の奥深さをヒシヒシと感じられる暗号の凄さにとにかく感動。暗号や黒岩涙香に関する蘊蓄が多いので好みが分かれる作品かも知れませんが、私には読み応えがあって大満足な1冊でした。


2位『屍人荘の殺人』今村昌弘【東京創元社】
大学の夏合宿で集まった数人の男女が、山荘で次々に起こる密室殺人に巻き込まれていくのはよくある展開。度肝を抜かれたのが外へと脱出出来ない理由。この小説ではなんと外は大量のゾンビに囲まれている設定!常に全員が命の危険に晒される中での手に汗握る展開は、ミステリーとしてとても面白かった。


3位『和時計の館の殺人』芦辺拓【光文社文庫】
現代の時計とは異なる時間の仕組みを持つ和時計が集められた館で次々と起こる事件。弁護士の遺言状公開、包帯男に雰囲気のある館。本格推理小説の見どころを詰め込んだような作品。探偵役の弁護士森江さんがラストに、某和装のボサボサ頭の名探偵にそっくりな衣装で謎解きしているシーンにちょっと和みました。


★2F 大庭

177.png1位 『人はなんで生きるか』トルストイ 【岩波文庫】
『新刊書店には2種類ある、と作家の丸谷才一さんが10年前の本紙に書いている。「岩波文庫を置いている店と置いてない店と。そして前者が上と思っている」』朝日新聞夕刊(「葦」夕べに考えるー動かぬものへの欲求)。この文章を読んで久しぶりに岩波文庫を読みたくなり、探しに行って出逢った一冊。これから人生をゆく上で指針となる一冊だと思っている。

2位 『ヴェネチアの宿』須賀敦子 【文春文庫】
須賀敦子、というだけで私にとって特別な本になる。これまで読んできた本は、ミラノでの暮らしや戦中戦後の少女時代を振り返るものが多かったけれど、この本では大人になった須賀さんが家族とどう向き合ってきたのか、ミラノの「コルシア書店」に落ち着くまでにどんな経験してきたのか、須賀さんの深層により深く触れることができた。


3位 『暗幕のゲルニカ』原田マハ 【新潮社】
現在の物語とピカソが「ゲルニカ」を描いた時の物語が交互に語られる。どこまでが真実で、どこまでが虚構なのかわからなくなるのは、さすが元キュレーターの原田マハ。信念を持った人の強さと輝きが印象的で、「ゲルニカ」という一枚の絵が人々に与える情熱に目眩がした。


★2F 田端

今年は小説よりもコミックを読んだ年になったのでコミックからベスト3を選びました。
177.png1位『百姓貴族 5巻』荒川弘 【新書館】(ウイングスコミックスデラックス)
実写映画「鋼の錬金術」は好調のようですが読んだことはありません。こっちは作者自身の経験によるコミックエッセイです。久方ぶりの新刊発売ですが、勢いはパワーアップしています!

2位『はじめアルゴリズム 1巻』三原和人 【講談社】(モーニングコミックス)
今年9月に連載が始まり11月に1巻が発売されました。頑固な老数学者と数学が大好きな少年の前途多難な話です。これからどういう風に展開するのか、全く読めません!楽しみです! 

3位『とりかえ・ばや 1~12巻』さいとうちほ【小学舘】(フラワーコミックスアルファ)
古典とりかへばや物語はいろんな方が現代小説化・漫画化されていますが、一番落ち着いて読めるコミックだと思います。先日雑誌掲載が完結しました。もう読めなくなるのも残念なんですが、最終巻が来年2月発売予定です!

★2F 山口

177.png1位 『響 小説家になる方法』柳本光晴【小学館】
もしも誰が読んでも感動するような神がかり的な小説が存在したなら?しかもそれを書いたのが謎めいた女子高校生だったら? 響(ひびき)は、ある新人賞に小説を応募したことで、才能が世に知れて大騒ぎになる。本がなかなか売れない昨今、こんな作家が実在したら楽しいだろうなあ!お祭り騒ぎの大事件だろうなあ!と、夢を見させてもらった。


2位 『白鯨との戦い 』ナサニエル・フィルブリック【集英社文庫】
ノンフィクションの力強さに感じ入った小説。怒れる鯨によって船を沈められた捕鯨船のクルーたちの漂流生活が生々しく記される。「あのときこうしていれば」という後悔に苛まれながら、常に究極の選択を強いられるクルーたちに自分を重ねて、飢えと渇きの地獄をたゆたうような気持ちで読んだ。メルヴィルの『白鯨』はこの事故をもとにして生まれた。


3位 『私家本 椿説弓張月』平岩弓枝【新潮文庫】
滝沢馬琴の「椿説弓張月」を平岩弓枝が流麗な現代語でアレンジ。主人公は、身長2メートル以上ある美丈夫の源為朝で、剛弓の使い手だ。権力争いに巻き込まれて各地を転々とする様子が、実話とファンタジーを融合させて壮大に描かれる。


★5F 松浦

177.png1位『図書館の魔女』高田大介【講談社文庫】
全四巻、厚さ約八センチ。壮大な物語です。架空の国々が舞台のファンタジーですが、剣も魔法も出て来ません。息を呑む程の権謀術数渦巻く外交小説であり、少年と少女の出逢いの物語でもあります。言葉で世界を操る“図書館の魔女”。個人的に読み応えあり過ぎでした。


2位『搭と重力』上田岳弘【新潮社】
学生時代、阪神淡路大震災で恋人と共に生き埋めとなり、独り生還した僕。虚無を抱える僕が二十年後SNSでその当時の友人と再会して...。恋人を思い返しネットワークを流離い最終的に自身を再生していく物語。そして作者のテーマでもある人類史をも描いています。

3位『コンテクスト・オブ・ザ・デッド』羽田圭介【講談社】
表紙のインパクトで購入した作品。作者を見るに単なるゾンビ小説ではないと予想していた通り自虐と風刺が散りばめられた内容でした。ゾンビに噛まれるとゾンビになる、しかし噛まれてもゾンビ化しない者、また噛まれなくてもゾンビとなってしまう者。その違いは一体何なのか...。


★7F 山川

177.png1位『狩人の悪夢』有栖川有栖【KADOKAWA】
昨年のベスト3にて目標に掲げた、作家アリスシリーズの読破(単行本)を達成しました! 読んでしまった…と寂しくもあり。ホラー作家の家の『必ず悪夢を見る部屋』に泊まった翌朝、近所で他殺体が見つかり…シリーズ長編の中でも、見せ場と名言が多いなあと思う最新作を代表で。装丁もたいへん格好いい。


2位『びじゅチューン! DVDBOOK vol.1~3』井上涼【小学館】
今年一番よく読んだ(見た)のは間違いなくこれ。美術作品・建物などを題材にしたゆるっと面白い歌とアニメーションの番組の公式書籍。小ネタがきいていて見るほどにはまり、題材になった曜変天目や風神雷神図屏風を見に国宝展まで行ってしまった。教えてくれた2F山口さんと娘ぽっぺんちゃんに感謝!


3位『おひとりさまのあったか1ヶ月食費2万円生活』おづまりこ【KADOKAWA】
『ゆる自炊BOOK』【ORANGE PAGE MOOK】
お恥ずかしながら家事をほぼしない私。しかし諸事情でやる機会が増え、料理本を見てみたら意外に初心者にはわかりづらい(特に加熱時間や火加減)! この二冊はそこがわかりやすく書かれているし、身近な材料がほとんどでとても参考になりました。もう少し要領よく出来るようになりたい…。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by a_kawaraban | 2017-12-31 23:50 | フェア | Comments(0)

元書店員たちによる読書日記


by おすすめ本処 かわら版