元書店員たちによる読書日記


by おすすめ本処 かわら版

 名悪役フェア


夏の暑さが来たかと思えば冬の寒さに逆戻り。不思議な天気が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?さて、物語を語る上で欠かせない登場人物は沢山いますが、その中でも今回は悪役と呼ばれるに存在にスポットを当ててみました。かの有名なシャーロック・ホームズでいうモリアーティ教授的存在、主役より好きな悪役、いい味出してる悪役など、かわら版メンバーオススメの名悪役たち。読者の皆様も気になる悪役がいましたら、ぜひ本編でもその活躍をご確認いただければと思います。

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★1F 岡田
悪役名:柳生義仙
『かくれさと苦界行』隆慶一郎/【新潮文庫】

本書は、『吉原御免状』の続編にあたる。『吉原〜』で主人公の松永誠一郎と対峙し、死闘の果てに右腕を失った義仙。将軍の剣の指南や、門弟を多く抱え技の研鑽に勤しむのが“表柳生”とするならば、義仙は“裏柳生”。殺戮の渦中に身を落とし、隻腕になって尚、宿敵誠一郎を斃す為、再び彼の前に現れます。その執念!粘着質!吉原に新たな陰謀が忍び寄る─その時、誠一郎と刃を交えるのは、こういう人でなくては!そんな、お手本のような人物です。


★1F 長濱
悪役名:朝倉恭介
『Cの福音』楡周平/【宝島社】

冷戦沈着で腕っ節も強い、その明晰な頭脳を使って考え出した驚きのコカイン(=C)密売ルートと、それを狙うマフィアとの攻防。主人公だけどヒーローではない、ダークヒーローと言えば聞こえはいいが、彼のやっていることは正しく犯罪。良心の呵責もなしに犯罪を繰り返す悪党のはずなのに、とにかく格好いいの一言。初読は高校生の時。コカインについての描写はあまりにリアルで、二十年以上経った今でも鮮明に脳に焼き付いている。


★2F 大庭
悪役名:灰色の男たち
モモミヒャエル・エンデ/【岩波書店】

“名悪役”と“好敵手”、ただの“嫌な奴”がごっちゃになってしまった。私は児童書から“名悪役”を。モモとよく遊んでくれていた町の人たちが、気がつくと来てくれなくなっていた。みんな、やたらと忙しそうだ。モモは“灰色の男たち”が時間を奪って人々を操っていることを知る。その有難さに鈍感になっている人間たちと違い、「時間の値打ち」をよく知る“灰色の男たち”。モモは奴らから時間を取り戻すことができるのか?


★2F 田端
悪役名:白子屋・菊右衛門
『梅安 乱れ雲 仕掛人・藤枝梅安』池波正太郎/【講談社文庫】

「我慢をしようとおもうたが……やはり、我慢ができぬわ
恩を売るわけやないが、わしも藤枝梅安には、よう面倒をみてやったつもりじゃ。が、まあ、それはよい。いまもはなしたとおり、梅安めは仕掛人の掟を破った上に、わしの手の者を何人も手にかけた。これはゆるせぬわい」
──────
ついこの間までは味方であったのに、いまやお互いに相手を討とうとする、白子屋・菊右衛門と仕掛人・藤枝梅安。暗黒界の大立者と金で人を殺める仕掛人が人として真っ当なのかは、読んで判断していただくしかありませんが、読後すっきりするのは悪役として見事だったからだと思います。


★2F 山口
悪役名:語り手の「わたし」
「夏の愉しみ」(『悪戯の愉しみ』収録)アルフォンス・アレー/【みすず書房】

悪役はマメだな!と思う。正義の味方が平和のなかでボーッとしているときにも、悪役は勤勉に次の悪の手を考えている。その滑稽さを凝縮したような作品が「夏の愉しみ」だ。語り手である「わたし」が隣人の意地悪女を死に追いやるまでの数々のいたずらが、それはもう愉快でたまらないというふうに紹介さているのだが、まあよくそんな面倒なことを大真面目で!と笑ってしまう。まるであいつだ。アンパンマンのバイキンマン!


★5F 松浦
悪役名:シリウス(作品内では飛鳥京介)
『天狼星』本薫/【講談社文庫】

このシリウスという人物は、探偵伊集院大介の宿敵として登場し、幾度も死闘を繰り広げるのですが、“妖しい”“禍々しい”という言葉が似合い過ぎる殺人鬼です。伊集院に懸想し、宜わないなら...世にも恐ろしい姿に変えて手元に置くと、まるで恋人に囁くように嘯くその異常性に、読んで背筋がぞわりとしたのを覚えています。三十年近く前の作品で、紹介にも伝奇ミステリーとあるように、凄惨な内容ですので、読まれる方はご注意を。


★7F 山川
悪役名:徳川治済
『大奥』よしながふみ/【白泉社】

男殺しの疫病・赤面疱瘡が蔓延り、将軍すらも女となった徳川幕府。病の根絶に乗り出した者たちの前に立ちはだかるのが、志も無く人を陥れ命を奪うことに何のためらいも無く、あるのは己の欲望のみ…そんな『怪物』徳川治済。何度となくぞくりとさせられ、巻き込まれる者の理不尽に憤りを感じる。しかし、それでも勇気や知恵を持って立ち上がる人々の美しさ、訪れるカタルシスの大きさは、この凄まじい悪ゆえなのかもしれません。


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# by a_kawaraban | 2018-05-31 23:27 | フェア | Comments(0)

5月青嵐侍[2F山口]

NEW177.png20日(日)今夜はお酒を飲みながら、手帳を書いたり、財布のなかのレシートを整理したり、メールの返事を送ったり、仕事から帰ってきた夫に、今日一日何をして過ごしたか話している。今日は夫の妹と、妹のむすめ(ぽっぺんちゃんの一個上)と、隣町のショッピングモールにお出かけしてきた。書店の文房具コーナーにしゃがみこんで、一本の鉛筆を吟味している5歳と4歳は可愛らしかった。こういうときは、私のなかの文房具愛と子ども心とが混じり合って、いつもの「早くして」という口ぐせが出ない。悩む気持ちがわかるからこそ、気に入るものを選べばいいと思う。ふたりはおそろいの鉛筆を一本ずつ買った。

NEW177.png19日(土)
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山の上の牧場は寒かった! うしろをずっとポニーが付いて歩いているのをぽっぺんちゃんは知らなくて、でもその気配を私だと思い込んで「ねえ、かーさん」と話しかけているのが可笑しかった。夜はみんなが寝静まったあと、お風呂読書。長田弘のねこに未来はない【角川文庫】を読む。どうして愛猫家に睨まれそうなタイトルにしたんだろう?(私はこの意外性のあるタイトルが好きだけど)と不思議だったけど、その謎がとけた。

18日(金)一匹のハエがときには人の運命を変えることもある。佐藤正午のジャンプ【光文社文庫】の出だしをもじって、思わずそう呟いてしまうようなことがあった。ちなみにジャンプでは「ハエ」のところに「カクテル」が入る。なんて美しい書き出しだろう! それはさておき、ハエ。今日、友達と三人でカフェーでランチをしているときに、ハエが飛んできた。そのハエが元で、とんでもないことが起こるのだけど、私はこうして夜中になっても、ハエを叩いた友達の判断と、店員の激怒が忘れらない。もしあのときハエが飛んでこなかったら? 佐藤正午のジャンプでは、いつもは飲まない強いカクテルを飲んだせいで酔っ払って眠ってしまった男を置いて、彼女が失踪する。でもそれが事故ではなくて、彼女の意思でそうしたものなら、カクテルはきっかけにすぎない。はたして今日のハエがもたらしたことは、事故なのか、遅かれ早かれ起こることだったのか。あまりに異様な出来事で整理がつかなくて悶々としているけど、それでも思うのは、一匹のハエをきっかけにもしも店がつぶれても、それはハエのせいではなく、人間の取った行動のせいであることは間違いない。

17日(木)長田弘のねこに未来はない【角川文庫】を読んでいると、のりこさん! きょうこさん! と声を上げそうになる。私の友だちで、無類の猫好きのふたりだ。長田弘のやわらかくてユーモアのある文章を読んでいると、私も犬の方から猫の方にかたむきそうになる。「起きろ! 起きろ! 生まれちまったんだよ! 見てみな! 石鹸みたいな仔ねこだよ!」(P55)



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# by a_kawaraban | 2018-05-20 23:00 | 【 侍 2F 山口 】 | Comments(0)
NEW177.png20日(日) 布団を干して、衣替え最後の冬服を洗って、気になっていたワンピースの丈を短く縫い直し、お昼ごはんを食べて、梅田に出て新しい靴の裏に滑り止めを貼ってもらって、それから薬局に行って、本屋さんに寄って、帰って夜ごはんを食べて、お風呂に入ったので、もうすぐ眠ります。そんな休日の夜も、お布団の中で読むのは復活(下)トルストイ【岩波文庫】。

NEW177.png19日(金) 今日は母に梅田まで出てきてもらって、百貨店でセルフエステ体験をしたり、お家で作れない韓国料理や、母がテレビで観たというデザートを食べに行ったりした。一週間遅れの「母の日」のつもり。それを母に伝えるのを忘れた。夕方、母と別れたあと用事があって難波まで。電車の中で復活(下)トルストイ【岩波文庫】を読んだ。

18日(金) 高畑勲監督のかぐや姫の物語をテレビでするというので観た。高畑勲監督作品を観るのは初めて。かぐや姫の物語が上映されたとき、なぜわざわざこの物語をいま映画にする必要があるのだろう、と思った。そしてそれは今日も思ったし観終ってもそう思った。でも、高畑勲監督の作品はこれも含め、他の作品もとても好きだという人が多いと聞く。なんだろう、と思いながらツイッターを見ていたら、『「かぐや姫の物語」の、女の物語 - 戦場のガールズ・ライフ』というブログの記事が流れてきた。上映当時に書かれたという。これを読んで、頬をぶたれるどころか頭を撃ち抜かれるほどの衝撃を受けた。わたしはなんて視野がせまいんだろう。わたしの感受性はなんて頑ななんだろう。こんな風に感じることができなかった。みんな、このように感じて、この作品を愛したのだろうか。時々、自分の感受性を疑うために残しておこうと思う。


17日(木) 仕事帰りに職場の人と軽く飲んで帰った。待ち合わせ場所で久しぶりに復活(下)トルストイ【岩波文庫】を開いた。上巻では、主人公のネフリュードフと女囚人カチューシャの目線がだいたい同じペースで入れ替わって物語を進めていたけれど、下巻になってからはほとんどネフリュードフの物語になった。ネフリュードフの頑張りにもかかわらず、カチューシャを救うことは難しくなってきた。さてさて、「おっさんずラブ」!そうそう!そういえばありましたよね、単発が!当時は田中圭さんに興味がなく、吉田鋼太郎さんのことも知らなかった。いや、今からでもどうにかして見てみようかなぁ。同じプロデューサーかなぁ。林遣都さんが出てたら絶対に観たい!7F山川さん、思い出させてくれてありがとうございます!

16日(水) おぉ!7F山川さんも「おっさんずラブ」にはまっているとは!うんうん!ふふふ。このドラマ、出ている人たちが俳優さんとは思えなくて、本当に役柄そのものの人物のように思えてくる。あれが演技だなんて信じられないくらい。このドラマに惹かれるポイントのひとつは、誤魔化したりしないところ。この気まずい展開をどう収めるんだろう?というシーンも、場面展開などで誤魔化したりせず、落ち着くところまで観せてくれるから、こちらも気まずい思いをしなくてすむし、置いてけぼりを食うことがない。これって割と大きなポイントだと思う。それからやっぱりなんといっても配役!もし牧くんをいま話題の旬な若手俳優さんなどがしていたとしたら、こんなにも興味を持たなかったと思う。林遣都さんや吉田鋼太郎さんが魅力的だから、彼らの恋を応援したくなる。プロデューサーが女性の方と聞いて納得した。牧くんは可愛いけど強くて、背丈ははるたんよりも小さくなくちゃいけないし、武川主任はエリートちっくで背が高くて腰の細い、シュッとした人じゃないとダメだ。ポイントを押さえたビジュアルがほんと上手い。はっ!本のときよりも長い文章になってしまった!でも、あと、そう、わたしも「おっさん」というタイトルに引っかかっていました。男性全員のことを指しているのか?それともヒロイン(吉田鋼太郎さん)のことを指しているのか?私は牧くんを応援しているので、ヒロインがはるたんとくっついたら、ちょっと複雑。



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# by a_kawaraban | 2018-05-20 22:45 | 【 侍 2F 大庭 】 | Comments(0)

5月七分袖侍[7F山川]

NEW177.png19日(土)新聞を見ていたら、書評欄の漫画コーナーがメタモルフォーゼの縁側だった!なんとタイムリーな。確かに載りそうな内容だけど(メジャーレーベルの速いペースで出る作品などはあまり取り上げられない印象)。そして出かけた先の書店では、ユペチカのサトコとナダ【星海社COMICS】の新刊が出ているのを発見!やった!といそいそと手に取る。小説は…そのうち。

NEW177.png18日(金)小説を読まねば、などと言いつつ手に取った漫画、鶴谷香央理メタモルフォーゼの縁側【KADOKAWA】1巻がとても良かった!久々に書店に立ち寄った雪さん(75歳)と、その書店のアルバイト店員うらら(17歳)が、雪さんがたまたま手に取ったBL漫画を通じて、語り合う友達になってゆく。年齢は違えど、好きなものに接するふたりはキラキラと幸せな気持ちなのが伝わるし、ひととそれを語り合えるのは本当に楽しいものだよなあ、と私も幸せな気持ちになれる。また、細かい描写もとても良い(カボチャを切ろうとして包丁が抜けなくなって一旦休憩したり、おすすめを貸すためにベッドにBL漫画を広げて悩んでいたら母親に声をかけられて慌ててふとんを被せたり)。私は二人の間くらいの年齢だけど、そこに入れてもらいたくなった。

17日(木)まだ有栖川有栖の正しく時代に遅れるためには読み終えていないけれど、そろそろ小説も読まないとなあ…と、積み上がった未読本のトーテムポール(50cm級)を眺める。これかこれ、まで絞り込んだらどこで読もうかなあと考える。家でも読めるといえば読めるけれど、読んだ場所や状況もその本についての大事な記憶になりうるのだ。考えるのはとても楽しい。が、今日の読書は進まなかった。

16日(水)法律改正で保険料が少し下がったという連絡をもらったので、医療保険の変更申込みをしに銀行へ向かう。減額はありがたいけど、保険の手続は書類が山ほどあって大変。どっさりの資料や控えを袋に入れてもらいながら、これはいつになったら処分しても大丈夫かな…などと考えてしまった。その後近くのK書店梅田本店に足を運ぶと、なんと定休日!月に一度くらいしかないその日に当たるとは、なかなか運がない。でも仕方がないし、その階上にあるブックFに寄った(こういう候補は梅田ならいっぱいある)。今気になるのは、貯金や家の片付けの本たちだ。なかなか買うほどに絞り込めないんだけど。さて。2F大庭さんがドラマ「おっさんずラブ」の話を熱く語ってくれていて、うんうんとうなずきつつ読んだ。ひとつこそっと情報を!「実は一昨年に2時間ドラマ版が作られていて、その時ははるたんと部長は同じだけど、牧くんではなく長谷川くんという別の後輩が出ていたらしいですよ(もちろん演者は林遣都さんではありません)!」

15日(火)本日公開のフェア「名悪役フェア」はいかがでしたか。メンバーみんなでひねり出した悪役の数々、バラエティに富んだラインナップだと思うのでお楽しみ頂ければ幸いです!私はどうしても小説から挙げることが出来ず、またも漫画に頼った。いや、漫画でもなかなか探すのが難しかった。何せ怖い話や後味の悪い展開が苦手で、「悪役」というものが登場する話をほとんど読むことがないのである…不甲斐ない。閑話休題。ドラマ「おっさんずラブ」を見ていてふと思い出したのが、5年前に放送されたドラマ「カラマーゾフの兄弟」。ご存知ドストエフスキーのカラマーゾフの兄弟が原作で、舞台は現代日本の郊外にある旧家に置き換えられていた。その家の三男役が林遣都、父親役が吉田鋼太郎だったのだ。この父親は凄まじい「悪役」だった。女にだらしなく暴力的で、人を人とも思わないような男。三兄弟の母である妻は追い詰められ自殺しており、兄弟たちは自分に流れる彼の血を疎む中、父親が何者かに殺され…という、殺伐とした話だった。原作を読めていれば名悪役フェアに挙げることもあったかもしれないな、と思う。それにしても、そんな殺伐とした親子を演じていた二人が今は男を間に挟んだ恋敵役とは、役者さんは本当に幅広いんだなあ。

14日(月)2F大庭さんの侍にドラマ「おっさんずラブ」が登場して、おお!と驚く。私も毎回見ていてはまっているのだ。男性ばかりの恋模様を描いたドラマなのだけど、男女のそれと変わらずドキドキしたり切なかったり。コメディタッチではあるけど、茶化した感じはないのがとても好きだ。しかしタイトルのおっさんとは誰を指すんだろうか。吉田鋼太郎はまあともかく、田中圭(33歳の設定)もおっさんなのかな…彼より年上の身には何だか複雑だ。

12日(土)f0369008_00245471.jpg
なんとなく歩きたいなあ、と思ってとりあえず梅田まで出かけたところで中之島のバラ園へ行ってみよう!と思いたち、てくてく歩いた(寄り道しつつで30分くらい)。中之島の東側にあるバラ園は今が最盛期で、たくさんの種類が咲き誇っている。それぞれの名前がまた面白くて、人名(各国のプリンセスや女優さんの名前が多い)や綺麗な言葉などいろいろあるのだが、時々あるのが何だか美味しそうな名前。「バタースコッチ」という名前のバラは少しオレンジがかったクリーム色で、まさかそんな香りでもしたりして…と思っていたら、隣にいたひとが鼻を近づけてくんくんと匂いをかいでいた(無味無臭や!と連れのひとに報告していた)。天気も良いし、近くのコーヒー屋さんで買ったアイスカフェモカも美味しかった。良い散歩になったなあと満足して帰宅すると、朝から見当たらなかった母が帰っていて、水間観音に行ってきたよ!とにこにこしていた。


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# by a_kawaraban | 2018-05-19 23:00 | 【 侍 7F 山川 】 | Comments(0)

5月薄暑侍 [5F松浦]

NEW177.png~18日(金)   フェア締め切りの三日前まで、誰にしようか悩んでいました。正確にはどちらにしようか、と。フェアのテーマを聞いた時、真っ先に浮かんだ人物、そして次に浮かんだのが紹介した天狼星の殺人鬼シリウスです。本当は最初に浮かんだ悪役にしようかと思ったのですが、その作品自体は違うテーマのフェアで紹介しているので、止めておきました。天狼星に決めて、本を読み返していた時、そういえばこのシリーズは三部作だけれど、その後新シリーズもあったということを思い出しました。そのシリーズは読んでいない…あの後伊集院大介とシリウスはどうなったのだろう?いつか読みたいなと考えながらフェア原稿を書き上げ、送信して、もし誰かと被ってしまったらどうしようかと心配しましたが杞憂でした。皆選択した作品に個性が出ていて面白かったです。気になる作品もありましたし、こちらもまたいずれ手に取ってみたいなと思い、同時に近々は無理だよねと未読本を眺めて反省してみたり。宿題が終了したので、さて読みかけの本をとまずギフトを開いてみたのですが、どうも読み進めず…今はこの作品を読む気力・体力が足りないと感じて、それまでの明日の方を読む事にしました。
十四年ぶりに再会した主人公の探偵沢崎。歳を重ね、変わったのかと思えば未だ携帯電話を持たずに、時代の流れに逆行するかのようなヘビースモーカー。そしてこの作品の登場人物はみな息を吸うのと同様に煙草を嗜んでいます。それがまた何だか心地よい。作品の世界観に合っていて必要不可欠な小道具となっています。物語は沢崎が〈この世界でとうに絶滅したと思っていたまごう事なき紳士〉に捜査を依頼されるところから始まります。それは簡単な身辺調査のはずでした。しかし、調査依頼である料亭の女将は既に亡くなっており、そしてそれを知らせようとした依頼人も行方知れずとなってしまうのです。そして強盗未遂事件や得体の知れぬ死体の発見などに遭遇し、その都度馴染みの刑事ややくざに絡まれますが、沢崎相変わらずの物言いで相手を怒らせながらも危険を回避し真相に近づいていきます。謎解きミステリーというよりはハードボイルドに重きを置いている雰囲気ですが、読み始めると小気味の良い文章に頁を捲る手が速まり、今日読了しました。最後の一頁に衝撃を受け、ああだからこのタイトルなのかと納得しました。続きが気になるのですが、次回作はいったい何年後になるのでしょう?

10日(木)  グランクレスト戦記の一巻を読み終えました。高い理想を抱く流浪の騎士と個性の強すぎる魔術師の、混沌の大陸での戦いの物語。一巻はこれから主となる登場人物の紹介のような流れで終了しました。で、二巻目をどうしようかと思いつつ――まだ読んでいない本が山ほどあるのに――友人との約束があるついでに、ついついK書店へ。今日は目的外の本は買わないようにと決心して店内に入りました。残念ながらグランクレスト戦記の二巻目の在庫は無かったので、ハヤカワ文庫や創元文庫の棚はあえて避けて、最後にコミックの棚をふっと覗いてみたら…。待ちに待っていたコミックの続巻が出ており、気が付いたら三冊抱えてレジに向かっていました。タイトルはアオイホノオの19巻、GANGSTAの8巻、鞄図書館の4巻です。特に後述の二点は前巻が出てから二年ほど何の音沙汰もなかった作品で、ずっと気になっていたのです。あぁ、読む本がまた増えてしまうと少しだけ後悔して、帰途につきました。今月のフェアの宿題も全く手つかずだというのに!
…しかし、今月のフェアのテーマは本当に難しい――映画やコミックやアニメならすぐに思いつくのですが、頭が痛いです。奇を衒おうと考え過ぎなのかもしれませんが。

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# by a_kawaraban | 2018-05-18 23:14 | 【 侍 5F 松浦 】 | Comments(0)
書き出しライブラリー
このコーナーでは、
かわら版メンバーがいま読んでいる本の
書き出しを紹介しています。


NEW177.png2F山口
ぼくは最初ねこが好きじゃありませんでした。じっさい、まっくらな夜の闇のなかを黒ねこの瞳がふたつ、ピカリと光ってはしるのをみるのは怖かったし、友だちの家に遊びにいっているときなど、とつぜん膝のうえに生暖かい重量がヒラリと跳びあがってきたときの緊迫した気もちといったら、まるで息のつまるようなおもいがしたものです。
⚫︎長田弘 ねこに未来はない【角川文庫】

1F長濱
優神田の町筋を、この冬最初の木枯らしが吹き抜けてゆく。早朝、お店のまわりを掃き掃除した丁稚の新太は、寒気に鼻の頭を真っ赤にしていた。腰痛持ちの番頭の八十助は、寝床から起き出すのが辛かったと、ひとしきりぼやいていた。
⚫︎宮部みゆき あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続【角川書店】

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# by a_kawaraban | 2018-05-18 20:58 | 書き出しライブラリー | Comments(0)
5月 「夢のはなし ④」2F山口



○月○日
「どなたさまもどうぞお入りください」
という看板が、そのお茶屋には出ていた。まるで宮沢賢治の『注文の多い料理店』だ。
暖簾をくぐると店には誰もおらず、「ようこそいらっしゃいました。靴を脱いで廊下をお進みください」という張り紙がある。書いてある通りにすると、やがて黒光りする廊下は左右に分かれ、目の前のテーブルにはお猪口くらいの小さな湯呑みがふたつ、いま注がれたばかりのように湯気を立てていた。「右の湯呑みが美味しければ右へ、左ならば左へお進みください」私は右に進んだ。
廊下が左右に分かれるたびに、テーブルには湯呑みがふたつ。そして同じ張り紙がある。左右のお茶の味はどんどん似てくる。私は微妙な味の差に迷いはじめ、最初のうちは断言できた自分の好みがわからなくなってくる。右か、左か。好みに正解も不正解もないのに、間違えれば道を踏み外すような危うい予感が、この二択にはある。自分の内側に耳を澄まし、問いかけ、ぎりぎりの選択で廊下を曲がるたびに、目の錯覚か、廊下の幅が狭くなっていくような気がして、不意に息苦しさを覚え、ああ、これは人生の選択だ、どちらの道を選ぼうと人生は険しい、と思った。
迷路のように入り組んだ屋敷を出ると、きつね顔の美しい店員さんが、私が選び取った唯一の茶葉を手渡してくれた。

○月○日
「昨日エッチな夢を見たんです」と、昼休みの休憩室で切り出すと、「聞きたい!」と言ってくれたのは予想に反して硬派な上司だった。
「道を歩いていると、小さな虫がかたまりになって飛んでいる(というか浮かんでいること)がありますよね。あの虫にそっくりなやつがひとに憑りついて悪さをするんです。ひとを操って悪さをさせるというか。私はまさにそんな現場に居合わせたんです」
私は「虫研究」をしている友人の車に乗っている。それで最近の虫騒動を友人から聞いたところだった。後方からパトカーのサイレンが聞こえ、前方の車に注意を促している。なんだろうと思ってサイドミラーを見ると、暴走車が近づいてくる。猛スピードでジグザグ運転をしている車を見て、友人は虫のしわざだとぴんときたようだ。追い抜いて行ったその車を追いかけた。
車はガードレールに衝突して停まっていた。慌てて車を降りて運転席を開けると、男性がぐったりとしていて動かない。
「どこも怪我をしているように見えなかったけど、念のためと思って服をめくってみたんです。そうしたら、胸からお腹のほうに移動する無数の虫の影が皮膚のすぐ下に見えたんです。『やっぱり虫だ!』と友人は叫びました。虫は下腹からさらに下っていきます。ええいままよ!とズボンとパンツを脱がしたのと、虫が股間に集中したのと、『そこで吸い出せ!』と友人が叫んだのは同時でした」

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# by a_kawaraban | 2018-05-13 11:04 | エッセイ | Comments(0)
書き出しライブラリー
このコーナーでは、
かわら版メンバーがいま読んでいる本の
書き出しを紹介しています。


5F松浦
西新宿のはずれのうらぶれた通りにある〈渡辺探偵事務所〉を訪ねてくるのは、依頼人だけではなかった。古びたドアをノックしさえすれば、記憶を失くした射撃選手も、性転換したゴースト・ライターも、探偵志願の不良少年もおかまいなしに入ってくることができた。一億円を奪われた暴力団員も、私を殺したい悪徳警官も現れた。もっとも、最後の警官だけは私の留守中に押し入っていたので、ドアをノックしたかどうかは不明である。
●原尞 それまでの明日【早川書房】

1F長濱
優真が人生ではじめて引っ越しと転校を体験したのは、名字が「瀬戸」から「世渡」に変わったときである。「良かったやないか。同じ『せと』いう読みでも、俺らの名字は世渡りとも読めるから、優真もきっと世渡り上手な人間になれるで」新しく叔父になった知敬は、初対面となる結婚披露宴の親族控室で、そう言いながら豪快に笑った。
⚫︎三津田信三 魔邸【角川書店】

2F山口
いつの記憶なのかは分からない。けれど、それがまだ歩きだしたばかりの、ほんの幼い頃であることは確かだ。光が降り注いでいた。遠い遥かな高みの一点から、冷徹に、それでいて惜しみなく平等に降り注ぐ気高い光が。
⚫︎恩田陸 蜜蜂と遠雷【幻冬社】

7F山川
大地がまた身を揺すった。浅い眠りは破られ、僕はむっくりと起き上がった。寝袋にくるまった三つの人影は動かない。これしきの震動にはもう神経が慣れっこになってしまったのか、あるいは昼間の疲れが三人を抱きくるんでいるのか。死体置場に一人取り残されたような心細い気分になった。
⚫︎有栖川有栖 月光ゲーム【創元推理文庫】

5F松浦
重厚な音楽が幾重にも鳴り響いている。そこは巨大な講堂であった。正面には一段高い演壇があり、登壇するための階段がかけられている。広く開け放たれた入口からその階段まで、真紅の絨毯が長々と敷かれてあった。
⚫︎水野良 グランクレスト戦記【富士見ファンタジア文庫】


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# by a_kawaraban | 2018-05-03 23:00 | 書き出しライブラリー | Comments(0)

 第2回『この本のここが好きなんです』 フェア


寒いと思えば暑かったり、移り気な気温が続きますが、皆様お元気でしょうか?4月のフェアは、「この本のここが好きなシーンなんです、もしくは好きなセリフ」フェアの第二弾です。強く印象に残って何度も何度も読み返したシーンやセリフは、きっと誰にでもあると思います。今回はかわら版メンバーのお気に入りを、読者の皆さんにもお伝えしたいと思います。
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★1F 岡田

「どうやらこれからの戦は、北辰一刀流も天然理心流もないようですなあ」
が、歳三、絶望の言葉ではなかった。(略)妙な男だ。笑っていたらしい。
その笑顔を、伏見奉行所の火炎が照らしている。
『燃えよ剣』司馬遼太郎/【新潮文庫】
好きもすぎると、話すことが憚られる。これは、どういう心理状態なのだろう。私にとってこの小説はその最たるものだ。頁ごとに胸をつかまれる箇所が必ずある。選んだシーンは、不利な鳥羽・伏見の戦いに於いて、憔悴するどころかギラギラが増していく様に「うおおぉーっ!」となったところ。“喧嘩師”の血がぐらぐらと沸騰する音が、聞こえる。


★1F 長濱

百七十年分のつぐないを、ぼくらみんなで分けあってはだめか。誰か一人におしつける運命ではなくてはならないのか。みんなで苦しみを分かちあい、みんなで明日へとつづく道を守ってはだめなのか。
『ディアスと月の誓約』 乾石智子/【早川書房】
極寒の地で豊かさを得るために、国の犠牲になることを決意する主人公。生まれ変わっても尚、一人が背負わなくてはいけないと思い込んでいた主人公を助けるため、死んだ幼馴染の魂が伝説の鹿サルヴィに語りかける場面。一人で苦しみを背負う未来もみんなで少しずつ分け合えばほれは苦しみでは無くなる。目から鱗が落ちるような思いがした。



★2F 大庭

「一人ぼっちね」とおひろはゆっくりあたりを眺めまわし、それから空を見あげて呟いた、「———お星さまがきれいだこと」
『つゆのひぬま』 山本周五郎/【新潮文庫】
辛い過去から猜疑心に固まった“おひろ”。娼家にあっても、人を信じ続ける“おぶん”に、年上の“おひろ”は、世間の冷たさ、信用のなさを言って聞かせます。そんな“おひろ”も純な“おぶん”と接しているうちに気持ちが揺れてー。短編ですが、物語自体が濃くしっかりとしているため、挙げたシーンに至るまでの“おひろ”の言動がより輝き、胸を打ちます。


★2F 田端

鍋島は、その年のバレンタインズ・デイにも、近所の売店で買ってきた感じの板チョコレートを「はい、季節の贈り物」とだけ言って渡してくれて、東京郊外の女子大学の数学科に進学した。
「なんで、三年生に上がるとき、文系コースにしたの?」
大学入試で、登校が自由になった校舎で鍋島に会ったときに、ぼくは、合格のお祝いとともに、彼女に訊いた。
「何でだったかな……。忘れちゃった。中井は、浪人するの?」
「そうだよ。私立は受けなかったから」
「そっか。じゃあ、もう出席番号通知で並ぶこともなくなるね」
「浪人しなくても、女子大には行かない」
それが、鍋島との最後の会話だった。
『未必のマクベス』 早瀬 耕/【ハヤカワ文庫】
こんなたわいもない会話をしていた高校生活が終わり、大学生から社会人となりそれぞれの道を歩んでいたはずだったのに、その道は交差して、全員の人生を変えることになる。
帯に惹かれて購入し、あんまりな世界観に圧倒され、読後、出会えて良かったと素直に思いました。


★2F 山口

一週間のうちに親友プラバカルとアブドラを亡くし、それとともに“自分はここにいる”と示してくれる精神的な地図の座標も失ったのだ。人格や個性というのは、ある意味、交わる人との関係によって描かれた地図上の座標のようなものだ。私たちは愛する人々自身や、彼らを愛する理由によって、自分が何者なのかを知り、自分自身を定義する。私はアブドラのすさまじいまでの激しさとプラバカルの幸せに満ちたおだやかさが交わる点だった。
『シャンタラム』 グレゴリー・ディヴィット・ロバーツ/【新潮文庫】
友達こそ宝だと思っているけど、この表現を読んだときに、自分の立っている足元がはじめて見えた。精神的な地図の座標!なんて巧い表現だろう。主人公は刑務所を脱獄してインドのボンベイに身を隠す。超弩級のエンタテイメントなのに心の動きが繊細に描かれ、抜き書いた上記の言葉以外にも「自分とは何か」という漠然とした問いに、目の覚めるような答えをくれる。


★5F 松浦

「エスタリオル。」彼は言った。「な、終わったんだ。終わったんだよ。」彼は声をあげて笑った。「傷は癒えたんだ。おれはひとつになった。もう、自由なんだ。」それから彼はうつむいて両腕に顔をうずめると、子どものように泣きだした。
『影との戦い ゲド戦記Ⅰ』 アーシュラ・K・ル=グウィン /【岩波書店】
これはゲドが影との戦いに勝利(?)した直後、この最果てに付き合ってくれたエスタリオルに話し掛ける場面です。自らが生み出した影との戦いが終わり、張りつめていた緊張が解けて、思わず泣き出してしまうゲド。後に大賢人と称されるゲドの、まだ幼さを感じられるこのシーンがとても気に入っています。


★7F 山川

「どうしてみんな、夕陽がきれいだと言うんでしょう。暗い夜がくる前触れなのに」
朱美は眩しくてならないというように目を細めながらも、顔をそむけない。
「夕陽は没落の象徴でもあるし、確かに闇の前触れでもあるけれど、それだけでもない」
火村は言う。「生まれ変わるために沈むんだから」
『朱色の研究』 有栖川有栖/【角川文庫】
有栖川作品には実在の関西スポットがよく登場しますが、夕陽を見に来るこのシーンは個人的に馴染み深い場所なので、小説と自分がより結びついた感じがしてとても好き。このあと、オレンジ色恐怖症であった女性に主人公がかける言葉も素敵なのです。
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# by a_kawaraban | 2018-04-30 23:48 | フェア | Comments(0)

4月 花筏侍[2F山口]

30日(月)7F山川さんからLINE。「蜜蜂と遠雷の【幻冬舎】が【幻冬社】になってるよ! 」と教えてくれて、わっ、と驚いて急いで直す。気を付けているつもりがやってしまうベタな間違いだ。あと私が間違えるのは、【白水社】と【白泉社】。こちらは無意識の間違いなので怖い。ところで今日は右腕が異様に痛い。なんだろう? と考えると、昨日えびせんを投げすぎたせいだった。

29日(日)遊覧船に乗って伊根湾めぐり。かもめに向かってえびせんを投げていると、鳶が飛んでくる。飛び交っている鳶は獰猛で、かもめに比べて貫禄がある(かもめは何かのボトルみたい)。子どもの頃は、この猛禽類が電柱に止まっているだけで恐慌をきたして、目をつぶって走って逃げた。私はそんなありさまなのに、アミティ(幼なじみ4人衆)のCちゃんは、目の前で交通事故にあった鳶を抱えて家に帰り、手当てをし、また野生にかえした。「すげえ」と思う。読書は恩田陸の蜜蜂と遠雷【幻冬舎】。夜になってようやく数ページ読めた。

28日(土)
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ゴールデンウィーク。電車で実家に帰って来た。午前中は動物のいる道の駅に遊びに行き(ここのリクガメはモナカの皮が大好き)午後からは温泉に行った。適度に疲れて眠い。ここのところ、えげつないほど忙しかったので、まったりできる時間が嬉しい。読書は恩田陸の蜜蜂と遠雷【幻冬舎】を読みはじめる。去年の夏に2F大庭さんに貸してもらい、読みたい読みたいと思いつつ、借り物のごついハードカバーは持ち歩きに向いていないので、集中して短期間で読めるタイミングをうかがっていた。

27日(金)「めだかのがっこう」を幼稚園で教えてもらったようで、ぽっぺんちゃんが最近よく歌っている。私はその歌を聴くと思い出す、工藤直子の詩がある。のはらうたのなかの「おがわのマーチ」という詩で、出だしはこう。「ツン タタ ツン タ みぎむいて ピン ツン タタ ツン タ ひだりむいて ピン ぼくら おがわの たんけんたい」これを言うとぽっぺんちゃんが喜んで真似をする。のはらうたの作者は、のはらに生きる小さな生き物たち。私が好きな書き手は、かたつむりでんきち、へびいちのすけ、ふくろうげんぞう。ちなみに「おがわのマーチ」の作者はぐるーぷ・めだか。「ツン タタ ツン タ みずくさ チョン ツン タタ ツン タ こいしを チョン」めだかの泳ぐ様子が目に見えるよう。

26日(木)トレヴェニアンのパールストリートのクレイジー女たち【集英社】を読み終えた。ズタボロになって読み終えた気分……!タイトルには「クレイジー女たち」とあるけど(たしかに「クレイジー」な女性たちは何人か出てはくるけど)そこはメインではなくて、貧困の中でもがき、母親と妹のために子ども時代を捧げる少年が主人公。I.Qが高くて、想像力が豊かで、優しさを持ち合わせている少年は、未来を切り拓く存在として期待されるのだが……。激情型の母親を見るにつけ、そこは頑張っている息子を肯定して抱きしめてあげようよ、と思うシーンが山ほどあった。まるで母親への抗議として書かれた小説。そんな印象が、最後まであった。


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# by a_kawaraban | 2018-04-30 23:00 | 【 侍 2F 山口 】 | Comments(2)
NEW177.png~30日(月)  グランクレスト戦記ギフトもまだ読了していないのですが、どうしても気になってしまいそれまでの明日【早川書房】を読み始めてしまいました。寡作な作家で有名な方ですが、三十年間で長編を五作品しか書かれていません。私がこの作家と出会ってからももう二十数年以上経ちます…。今回もなんと十四年ぶりのシリーズ最新作。私はもうこの沢崎シリーズは読めないのではと思っていたので、本当に嬉しいです。チャンドラーは読んだことはありませんが、私の中で“ハードボイルド”と言えばこの沢崎シリーズなのです。

~15日(日)  少し前からラノベを色々試し読みをしています。しかしピンと来るものが無くて、たいてい直ぐに止めてしまっていたのですが、久し振りに次巻も読んでみようかと思う作品に出会いました。グランクレスト戦記【富士見ファンタジア文庫(角川書店)】というファンタジーものです。何だか文章との相性がいいのかもしれません。完結しているようなので、少しずつ挑戦していこうかと思います。ギフト【河出書房新社】はいよいよ佳境に入って来ました。この先どう物語が流れていくのか楽しみです。
昨日(14日)に元上司の喫茶店を訪問する事になり、久し振りに7F山川さんと結城さんに会ったのですが、六年くらい会っていないし、話が弾むかなと心配になりましたが、杞憂でした。本の話からそれ以外の話まですっかり盛り上がってとても楽しい時間でした。会う前に購入した14年振りに新刊が出た原寮それまでの明日【早川書房】の話や、先日購入して面白かったコミック赤ちゃん本部長【講談社】の話をすると山川さんはその作家を知っているとのことでしたので、お勧めしておきました。それからミステリーの話にもなったので金田一耕助のシリーズも無理やり勧めておきました。家が近かったなら持っている金田一シリーズを全部貸せるのにと本当に残念です。そして山川さんに勧められたバーナード嬢曰く。も面白そうなので探してみようかと思います。

2日(月)  思い切り笑いたくなって、その時にはこれを読む!というコミックの一つ、俺様ティーチャー【白泉社】を引っ張り出し、今出ている巻まで読み切ってひとしきり笑った後、花筐【光文社文庫】を読み始め――読み終えました。でも、すぐに再読。何だか一度読むだけでは勿体ない気がして、結局三回読みました。物凄い個性的な世界観。青春小説という概念がすっかり変わってしまいました。多分、これからも何度も読み直す作品だと思います。主人公の榊山は、大人になり切れていない青年。その彼が憧れるのは鵜飼と吉良という二人の学友――この二人は対照的な存在として描かれ、また病弱な従妹の美那と若い叔母が美しく表現され、そこに美那の友人である千歳とあきねが絡み合い、そこはかとなくエロスの匂いを感じる群像劇となっています。
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# by a_kawaraban | 2018-04-30 22:48 | 【 侍 5F 松浦 】 | Comments(0)

4月お片付け侍[7F山川]

30日(月)そういえば今月は全く写真をアップしていない。まあ普段ほとんど写真を撮らないからなのだけど、撮れそうな所へ行こう!と思い、四天王寺の古本市へ行ってきた。特に目当てがあるわけではなかったが、文庫などを中心に見て回る。じっくり吟味して1冊だけ買い、さて写真…と思ったが難しい。人を入れないようにすると、古本市とわかるように撮れない(下手だからだ)。しかも写った空がまたどんよりグレー…もういいかこんなんなら載せなくても、と思ってあっさり諦めた(早っ)。来月は撮れそうなタイミングを逃さず、何か写真もアップするようにします!

29日(日)謎は解ける方が魅力的に北村薫の名前が出てきておっ、と思う。私は未読の作家なのだけど、周りにファンが多い(今ちょうど2F大庭さんも読んでいるし!)のでずっと気にはなっているのだ。とはいえどんな登場の仕方かというと、阪神タイガースについての連載コラムに「推理小説界きってのタイガースファン」として、だ。しかも連載されていたのは2003年!タイガースが18年ぶりに優勝した年だ。喜んだり怒ったり泣いたり、本当に幸せなシーズンだっただろう、と文面から伝わってくる。私も阪神ファンの友人の影響で野球を見るようになった頃だったので、かなり楽しんで読んだ。が、推理小説作家のエッセイ本だということは忘れそうだった。読了。

27日(金)有栖川有栖のエッセイ集は、もう一冊借りてきていた謎は解ける方が魅力的【講談社】に突入した。のだが、返却期限も近づいていたので図書館へ向かう。私は大阪市中央図書館を利用しているのだが、ヤングコーナーを見るのが楽しい。漫画やライトノベルはもちろん、ヤングアダルト小説や古典歴史など、いろんなジャンルが揃っている(地理や旅行本のコーナーには「修学旅行ガイド」なるものがあって驚いた!)書店だと、児童書より上のこの世代は一箇所に集めるのが難しいので、図書館ならではだ。しかし陳列什器は書店より乏しいのか、ブックエンドの端にロール紙の芯をテープで貼り付けたものを面陳列(表紙を見せる陳列)に使っていた。こういうものに工夫するのは書店員と同じなんだなあ。

25日(水)図書館で借りてきていた、有栖川有栖のエッセイ集赤い鳥は館に帰る【講談社】を読んでいる。エッセイ本といえば普通は書き下ろしか雑誌などの連載をまとめたものだけど、これは短期連載や寄稿など多岐にわたって収録されている(数行しかない、本の帯のコメントなども)。そうしたエッセイ集が何冊か出ているのだが、みんなタイトルが格好良く装丁も素敵なのでわくわくする。

23日(月)さすがにもうそんなに寒くなることもないかな、と思い毛布を洗濯した。我が家の洗濯機は小さめなのだけど「毛布モード」があったので、信じて任せてみる。時々全く音もなく動かなくなることがありハラハラしたが、脱水まで無事に済んだ。今日は風がすごくて、飛ばないように必死であちこち留める。こうして冬のあれこれをしまう季節だなあ。


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# by a_kawaraban | 2018-04-30 19:00 | 【 侍 7F 山川 】 | Comments(0)